けんもほろろ

競馬ブック道営TMの、つぶやき以上てりやき未満なblogです。

「タフな馬場」

楽天競馬のライブ映像やニコニコ生放送などで放映(中継)されている、ホッカイドウ競馬CS放送にて、私の直属の先輩である高倉克己TMが解説者として出演していますが、ここ最近、高倉さんがレースのポイントとして「タフな馬場」というワードを頻繁に(1日に十数回も!)用いています。

 

今季第三回開催から、調教師会の要望(調教師の間でも賛否両論はあったとのこと)で馬場に砂が足され、結果としておそらく意図された以上に異常に時計がかかる馬場が出現しました。感覚としては開催を重ねるごとに砂の粘り気が増してきた印象で、第七開催から第八回開催あたりにかけて、3週ほどにわけて少しずつ再度砂の厚さの調整が行われましたが、改善される様子はなく、重馬場でもむしろ良馬場より時計がかかるような現象が確認されています。ただ、水の浮くような不良馬場となると、通常の馬場なりに時計は速くなります。

 

この馬場によって、ダートもこなせるが本来芝向きの走りをする馬、特に今季デビューの2歳馬にとっては辛い状況が生まれています。例年の門別ダートなら、能力通りにJRA認定競走を勝利し、より走りやすくなるだろうと思われる(期待も含め)函館・札幌の芝を使いに行けるのですが、そのような例年レベルにある馬が、今年はタフな馬場を苦にして認定競走を勝てない故に、芝に行きたくても行けないということが少なからず起きているわけですね。芝志向の馬に限らず、能力は高いのに軽い走りをする馬、馬体の小さい馬、まだ飛節が固まりきってない馬、などが勝ち切れず、能力関係なくパワータイプの馬が有利になってしまい、正確な能力比較そのものが困難になってしまっています。馬場の助けもあり未来が開ける馬がいるのは悪いことではありません(それは通常のダートでも、その日の馬場状態を味方につけ勝利するというのはよくあることだ)し、タフなダートでのレースをこなしていくことで気持ちの面での勝負強さが磨かれるという見方もできなくはないですが、馬場のせいで、有望な2歳馬の将来を閉ざしてしまっていることは事実でしょう。

2歳戦に限らず、レース全体で見たときに、馬場に力を奪われて馬が直線で止まるのを恐れるジョッキー心理ゆえに、スローのタメ合いからの直線勝負というレースパターンになりがちになっています。レース自体の面白さも、この馬場によって削がれているわけですね。

 

さて、明日は札幌競馬場でコスモス賞が行われ、道営馬5頭が参戦します。上記のような馬場での戦いを経て挑戦しに行くわけですから、私が言うまでもないことですが、出走叶わなかった馬の分までがんばってほしいところです。

ハッピーグリンは血統からも走りからも明らかに芝向きですから、タフな馬場での健闘は能力の証明という見方もできるでしょう。スタートがもっさりしているので、前半であまり離されすぎなければ、終いは確実に伸びてくると思います。

ヤマノファイトはタフな馬場をさほど苦にしてはいませんが、これまで使われてきた距離は忙しすぎるというのも事実ですね、前走の函館2歳Sは前半気を抜いて走っていたこともあり、その経験を踏まえることができる今回はまた変わってくれるのではないかなと思っています。

他の3頭含め、(現在の門別ダートよりは明らかに)軽い芝の舞台で、伸び伸び走ってきてほしいですね。